刃角

今日は定例の試斬会でした。

今日は抜打がテーマとなりました。

 

抜打は右手で刀を抜きながらそのまま袈裟斬りに斬ります。
斬り手からみて2Dで見れば左上から右下に斬るわけです。

日本刀はその性質上、引いて斬るのが一番効率が良いと言われています。
その理由は以下の通りです。


意外に思われるかもしれませんが、日本刀の刃角は30°程度もあります。
この刃角は欠けない丈夫さを保ちつつも斬れる計算された角度です。
通常この刃角ではそのまま押し斬りしても対象物の応力に負けてしまいます。

しかし、日本刀の凄いところはその反りと引く動きによって実際の斬り刃角度を20°位まで持ってくることが可能なことです。
これは山を登るときに斜めに進む方が斜面が緩くなる原理と同じです。

 

よって抜打を左上から右下にイメージすると斬れません。
前にも書きましたが、動きを2Dでイメージすると間違えます。
この場合も3Dで捉えることが必要ですね。

 

つまり左上奥から右下手前に斬るイメージを持つことが大切です。
この違いは何か?
「引き」の長さに違いが出ます。
左上奥から右下手前に引くことで引く距離が長くなります。
この距離が長くなるほど斬る刃角度は小さくなるのです。
三角関数を知っていればわかりますよね。

加えて楕円を描く軌道で動きは一段と楽になります。