天子南面す

最近、新しく入会される方が増えてきたことから礼法についてお教えする機会も増えてきました。
所作のみをお教えするのではなく、なるべくその意味合いもお伝えできると興味を持って頂けるのではないかと思っています。 

そんな中でよくお話するのが中国の「天子南面す」という考え方です。
天子様が南面するということは、天子様から見て左側は東、右側が西になります。
東は太陽が昇る方向ですから陽。
逆に西は太陽が沈む方向ですから陰。
物事には陰陽があるという陰陽道の考え方です。

天子様が南面すると臣下は北面しますので、臣下からみると東は右側、西が左側になります。
臣下からは右側が上座、左側が下座になると言うことになります。


ちなみに左大臣と右大臣では左大臣のほうが位は上です。

こちらは天子様から見て左側が上ということです。

左京区、右京区も地図を見ると左右反対のように見えますが、これも天子様から見た位置関係になります。

こう考えると上京区、下京区も意味は容易に想像できます。


 落語や歌舞伎などでも観客から見て右側を上手、左側を下手と言いますね。

上下で言うと上は陽で下は陰です。

よって天子様に対する礼として左側から動かすというわけです。
座礼で左手から床に着くのを敵対動作と説明しているところもあるようですが、むしろ敬意を表したものととらえた方が自然な気がします。
各流派によって多少考え方も違うかも知れませんが、その意味を知るのは楽しいですね。