エビ型とカニ型

深夜のNHKで「ザ・データマン」という番組をみていました。
その中で競技空手の構えは変わって来ており、エビ型からカニ型になってきているというのです。

これまでの日本の伝統的な空手の構えはエビ型。それに対して国際競技の影響からかカニ型の構えをとる選手が多くなっているというのです。

何が違うのか?
エビ型の構えに比べてカニ型はプラス20°半身に構えることのようです。
これにより、より遠くの打撃点を確保出来るようになるとのことですが、ここで大事なことはそれがカニ型の構えをとることにより膝の自在性を確保することで成り立っているということです。
なかなか示唆に富んだ話です。
剣道は絶対にとらない剣術の撞木足などを考える上でも面白いと思います。

また、カニ型は打撃を行う身体側の動きを隠す役目もあるようです。
さらにもう一つ、これは番組の中ではあまり触れられていませんでしたが、打撃がより相手の体軸に対して鋭角に入るという利点もあります。
人は自分に向かって直線的に延びてくる打撃は距離が掴みにくいということです。

また予備動作の話もありました。打撃する際には、通常はまず肩の動き(予備動作)があったあとに打撃が出ますが、その肩の動きを無くし、ノーモーションで打撃に入ると相手からは動きが読みにくいと言うわけです。
これは静稽会の稽古でも刀を抜くときは肘から上はなるべく動かさないように指導するのと同じ考えです。
相手にこちらの動き始めを知らせる予備動作を極力排除するというのが稽古の基本になります。