先日、別流派にも稽古に行っている会員のHさんがこんなことを言ってました。
「剣道をやっている人の剣は受けた時に違和感がある」
別流派の中に剣道をやられている人がいて、その方の剣を受けての感想です。
これはどういうことでしょうか?
剣道をやっている方々の素振りを見ているとわかります。
彼らは打突点(剣が敵に触れたところ)で剣を止めていますが、我々は斬り終わったところで止めます。
何が違うのか?
実は「斬る」ということは、剣が敵に触れたところから始まりますので、静稽会ではそこからの身体の使い方も重視します。
剣道の素振りはその部分を体現出来ていませんので、どうしても剣を受けたHさんは違和感を感じたのではないでしょうか。
「斬る」と「打つ」とは違います。
「線」と「点」ほどの違いがあります。
ある物体に鉄の棒を強く押し当てていくとします。
そのまま力を加えていくと、棒は次第に物体に食い込んでいきます。
そしてその物体の持つ応力以上の力が加わると 時に棒は物体を引きちぎるわけです。それが剪断です。
鉄の棒の当たる部分を薄くしていけば、物体との接点は小さくなって力が一点に集中します。より小さな力で物を剪断する事が出来るわけです。
これが「刃」の発想です。
では薄くすれば良いかというとそうばかりはいきません。
薄くすれば脆くなりますから。
それらを繋げるのが「斬る」という技術です。
簡単に言えば「刀を引く」という事です。
「引く」という動きも原理はギロチンの刃が斜めについている原理と同じです。
Hさんの感想は「斬る」技術を持つ人の素直な感想なのかなあと思うわけです。