退歩のススメ

先日、会員のSさんから本をお借りしました。
Sさんは時々、前触れもなく本を貸してくれます。
そのタイミングは定期的と言うわけではなく、不思議にも私がその時に対面している問題のヒントになるような本を貸してくれます。
彼には超能力があるとも思えませんので、たまたまかもしれません。
もしかしたら興味の向く方向が似ているのかもしれません。

 

さて今回は「退歩のススメ」ー失われた身体観を取り戻すーという本を貸してくれました(晶文社)
藤田一照氏と光岡英稔氏の対談本です。

 

藤田氏は坐禅を始めてから知りました。
坐禅の世界ではワールドワイドに活躍している有名な方です。
私は藤田氏のジャンルを問わない自然体の姿勢に共感するところがあり、本も何冊か読みました。

 

光岡氏も武術の世界では有名な方です。
並外れた知識と豊かな感性を通して、独特な言葉で表現されます。

 

武術と坐禅を同時並行して「稽古」している私にとってお二人の対談はまさに願ったり叶ったりでした。
興味のある方はぜひ読んでみてください。

一部のキーワードを記します。

 

しゃがむ格好ができない人が増えている

 

坐禅嫌いの僧が増えている

 

身体観には歴史がある

 

身体のジェネレーションギャップ

 

型とは一回性を生きる自分を観る稽古


「このように」と答えたら禅ではなくなる

 

(禅は)世間の期待に応えるようなものではありません。

 

マインドフルネスを目指す人にはそもそもあなたが心だと思っている「その心」を入れ替えないことには始まりませんよと言いたいのです

 

矛盾を矛盾のまま、矛盾として生きて行った姿には共感します

 

自分の思い込みなのか本物なのかがわかるためには、本物の梅干しを食べてみるしかありません

 

拈華微笑

 

どれだけ凄い人の経験や教えであっても、所詮は他人の経験です

 

道具がそれを使う人を育てる

 

体壁系を鎮めて、内臓系の声を聴く


昨日の悟りにしがみついていると、それは今日には悟りの干物になる


今の息は、今しなければならない


「あの人は昔は凄かった」と言われても仕方がない。今、ここで何ができるかが武のベースです

 

回向返照の退歩




今後の稽古と坐禅に一つの方向性を感じた本でした。
Sさんありがとう!