剣道の斬り

剣道は本来は日本刀を扱うことを前提としたものであったはずです。
しかし、私の知る限り、剣道経験者ほど試斬会では苦労します。(かく言う私も剣道経験者です・・^^;)

これまで「剣」道を経験してきたから斬れて当然と思って臨みます。

しかし、実際には本人が思っているようには斬れません。

それは何故でしょうか?


理由の一つは剣道の「打突」にあります。

剣道は防具を付けてその上を打突します。もちろん「有効打突」です。

しかしそこには「斬る」という動きは全くありません。

「斬り」は身体に触れたその直後から始まるからです。

剣道は「斬る」前に終わっているわけですから、剣道の稽古をいくら積んでも斬れません。
これは木刀での剣術にも同じことが言えます。

 

日本刀は引くのが一番楽に斬れます。
日本刀は何故引いて斬るのかはここでは詳細を省きます。
日本刀の刃角は30度くらいと言われています。意外とありますよね。

この刃角で斬るためには引くことが必要になってきます。

やはり剣道の「打突」では斬れないのです。

 

また剣道の竹刀が四つ割りの竹で出来ていることも斬れない原因かもしれません。本物の日本刀を手に取ったことがある方は分かると思いますが、刀の構造はもう少し複雑です。

四つ割り竹刀の弦(刀の峰)を目安に剣道の打突を行うと多分斬れないでしょう。斬れても「ドスン!」と大きな音が出て、斬れた上部は試斬台から離れたところに落下します。綺麗に斬れると音もほとんど無く、台の下にそのままの状態でストンと落下します。これは試斬をある程度経験しないとわからないと思います。

 

さらには竹刀と日本刀の重さの違いです。日本刀は竹刀ほど簡単には振り回せません。腕の力だけでコントロールするには重すぎます。

日本刀を扱うには全身を使うこと、無駄な力や動きを無くすこと、刀を生かして使うことなどが必要です。


竹刀や木刀のみの稽古しかしたことがない方は是非、日本刀による試斬を経験することをお勧めします。