「蹲踞」は「そんきょ」と読みます。
あまり聞きなれない言葉かもしれません。
「蹲踞」は両膝を開いて深く曲げて、かかとを上げた形で、上体をまっすぐにした姿勢のことです。相撲や剣道で行う立ち会いの前の姿勢と言うとイメージ出来るかもしれません。居合でも使います。この「蹲踞」ですが意外な効果があります。
まずその前に「丹田」を説明しなければなりませんが、ここでは一般的な「丹田」を紹介します。武術や坐禅でも良く出てくる言葉です。「臍下(せいか)丹田」とも言います。「臍下」とは簡単に言えばヘソ(臍)の下です。「丹田」はヘソの下三寸のところにあると言われています。極めて直接的には不老不死の薬を作り出す場所と言うような意味ですが、ここで気を練ります。大事なことはヘソの下三寸の場所とは言ってもお腹の表面ではなくて身体の内側です。
臍下丹田に意識を持つと上半身の力が抜きやすいです。
腹から声を出す時などは上半身の力を抜くことが大切です。また素振りなどで良く肩に力が入っていると言われている方も臍下丹田を意識すると良いかもしれません。
さて蹲踞です。
蹲踞の姿勢をとりながらゆっくり呼吸をすると上半身の力みがとれて、臍下丹田が実感しやすくなります。蹲踞で無理なく長く続けられる姿勢で丹田から真っ直ぐ上に向けて管が通るような感覚で呼吸をしてみて下さい。実はこれ坐禅で座る時の身体感覚に近いです。より呼吸が通りやすくなります。坐禅に慣れてない方はどうしても上半身に力が入りがちです。力が入ったままだと長く座れません。この方法の後に座ると多少楽に座れるかと思います。
稽古のスタート時に力が入りがちな方は稽古前に蹲踞の姿勢で丹田を意識しながら呼吸してみて下さい。もちろん吐いてから吸います。心身ともにリラックスした状態で稽古が始められるかも知れません。試してみて下さい。