柿とあまのじゃく

柿の美味しい季節になってきました。好みというのは遺伝するのでしょうか。私の父親も柿が好きでした。
実家の庭には柿の木があり、隔年毎にたくさん実をつけていたので、秋は柿三昧の日々でした。

この柿の木に登って、柿を取ろうとすると

 

「痛い!」

 

柿の葉の裏に「あまのじゃく」がいて、手をチクッと刺します。
蛾の幼虫らしいのですが、これが痛いのなんの。私は「あまのじゃく」はこの虫の名前だと思ってました。

 

「天邪鬼」

 

そう四天王像などに踏みつけられているあのかわいい?小さな鬼です。
この小さな鬼が「あまのじゃく」の語源?だと知ったのは修学旅行の時でした。修学旅行も時には役に立ちますね。

 

世の中にはこの天邪鬼ファンはいるようで、私が目貫にこの天邪鬼を採用しようとあちこちの刀装具店を巡っていた時に、店主から天邪鬼は人気がある意匠なんですと聞かされました。

 

なぁるほど!
だからあんまり市場に出ないのかあ!

 

結局、手に入れることは出来ずじまいでした。
甘い実をもぎ取ろうとふれた瞬間、葉の裏に隠れていてチクッと刺すあまのじゃくは相手を殺すわけでも大怪我をさせるわけでもなく、チクッと小さな痛みを与えるというところが何となく良いなあと。

 

もう一つ求めていた目貫の意匠は「韓信の股くぐり」でしたが、こちらも結局、手に入れることは出来ませんでした。昔もこうして目貫の意匠を選んだのかと思うと武士の世もなかなか面白いなあと感じます。