「三年片頬」稲垣啓太選手

ラグビーW杯では日本が絶好調のようで何よりです。
今回、私が注目したのは稲垣啓太選手です。


彼は笑わない男なんだそうです。勝利しても決して笑わない。

そういえば昔の武士は滅多に笑わなかったと聞いたことがあります。
また薩摩には「三年片頬」という言葉があるそうです。薩摩隼人は三年に一度くらいしか笑わないという意味だそうです。それも片方の頬を少し上げるくらいしか笑わない。
まさに稲垣啓太選手です。

 

「喜怒を色に形(あらわ)さず」


これは「三国志」の劉備を評した言葉です。「語言少なく、善く人に下り、喜怒を色に形さず」と評されていたそうです。寡黙で謙虚、しかも感情を顔に出さない人という意味です。

 

喜怒哀楽の感情を顔に出さないというのはリーダーに対する褒め言葉です。
組織がピンチに陥ったとき、部下は必ず上の者の顔色をうかがいます。そんなとき、上の者が不安動揺を顔色や態度に現したのでは、動揺はたちまち組織全体に広がってしまうことから「喜怒を色に形さず」が良しとされました。

 

しかし、私は日本の「三年片頬」はこの理由だけではないのではと感じています。
日本では「人に笑われる」という事が社会的な強い 基準となっていたという説があります。「もの笑いの種」とはよくその状況を表しています。子供には「人様から笑われますよ」と言い、人への贈答の際には「ご笑納ください」 などと言います。特に武士社会では人から笑われるということは大変恥ずかしいことであり、逆に下手に笑うと相手の社会的な立場を危うくすることになります。またそれによって刃傷沙汰が発生することもあったのだと思います。

 

武士の世界ではお互いの家の安全を確保するために表情を顔に出さないことが良しとされたのだと思っています。その名残は今では土俵の上に少しだけ残っていると感じます。あくまで個人的な意見ですが。

 

明日のW杯南ア戦後に稲垣啓太選手の「三年片頬」を見たい!