武術に関する書物を読んでいた時に「姿勢」という言葉に目が止まりました。頭の奥底からある記憶が蘇ります。
私とご縁のある会社は昔、一般財団法人「姿勢研究所」という団体を作っていたことを思い出しました。「姿勢研究所」は姿勢を正すことで健康になれるといった主張に基づいて研究を行っていました。確か何ヶ月かに一度回覧で回ってきていた論文集があり、その中には興味をそそる題名の論文もありました。
・立位姿勢における重心線の位置
・静的および動的立位姿勢における体重配分値の傾向変化の分析
・立位姿勢における身体動揺と足底部位圧
・直立姿勢における重心動揺と呼吸の自己回帰モデル
・空手道基本技における姿勢と動作
今ならおそらく廃棄前に頂いて保存版にしていたと思います。遅かりし!
武術では力を抜けと言われます。
誤解を恐れずに言えば筋力ではなく、身体の重さを利用した身体の使い方をするということだと思っています。
身体には常に地球の重力がかかります。立った時に重心線と身体の中心軸が一致している方が楽に立てます。そこに背骨が真っ直ぐに重なれば良いわけですが、ご存知の通りこの背骨は元々真っ直ぐではありません。背骨は重力の影響を受けやすく曲がりやすいといえます。
ですから身体を真っ直ぐにするのは意外と難しいです。稽古では頭頂から紐で吊るされた様に立てと指導されますが簡単ではありません。
なぜか?実際には身体が吊るされるわけではなく(当たり前)、背骨を支えるためにはやはり筋肉が必要だからです。あれっ?筋肉を使わないんじゃあないの?
確か姿勢研究所ではザックリ以下のようなことを言っていたと記憶してます。
「筋肉にはアウターマッスルとインナーマッスルがあり、(ここでは詳しい筋肉の説明はしません)、背骨を支える筋肉や背骨と腰をつなぐ筋肉などはインナーマッスルと言われている。このインナーマッスルは腹筋などとは違って鍛えることが難しく、実はこれを鍛えるためには日常的に正しい姿勢を維持することこそが最も効果的な方法だ」と
坐禅は長い時間同じ姿勢で座り続けなければなりません。このためには正しい姿勢でなければ正に「苦行」になります。知らず知らずの間に坐禅はインナーマッスルを鍛えているとも言えます。
昔の武士が武術の稽古とともに坐禅を組んだ理由は精神面の理由だけではなく、正しい姿勢を維持するためのphysical trainingだったのかも知れません。
とりとめもなく長くなってしまいました。
反省。