先日、最もチケットが取れない講談師神田松之丞と爆笑問題の太田光と憑依型女優松本まりかの対談番組を観ていた時に興味深い話がありました。
神田松之丞は講談中に「ゾーンに入る」ことがあるそうです。
彼は「ゾーンに入る」ともう一人の誰かが後ろから出てきて、自分にいろいろ指示をしてくると言います。
例えば「汗が出ているから拭いた方がいいよ」などと語りかけてくるそうです。台詞を言うタイミングまで指示してきて、これがまた絶妙なタイミングなんだそうです。それに従っているとその時の講談の出来は抜群で客受けも良いらしいです。しかもその時のはっきりした記憶はないと言ってました。
ある一流楽器演奏者もこんなことを言っています。
(演奏していると)「頭」と「心」と「身体」が一体化していく感覚すらなくなって、自分は客席の一番後ろの席で良い音楽を聴いているだけという感覚になったりする。
そうした精神状態はスポーツ選手などでも良く聞きます。
「ボールが止まって見えた」
「俯瞰して見ているもう一人の自分がいて、相手の動きが手にとるようにわかった」
前にも書きましたが、小説家の五味康祐は芥川賞受賞作「喪神」でまさにゾーンに入った武術家を描いています。
その主人公も「ゾーン」に入って敵を倒した際の記憶がありません。
武術家の場合のゾーンは「魔界」か?