剣術形には仕太刀と打太刀があります。
仕太刀は教えてもらう側が、打太刀は教える側が担いますが、大体、最後は打太刀が斬られて終わります。
剣術形は古人がある想い(意図)を持って作っていますので、稽古ではこの古人の想いを身体で感じることが大切です。
ただ形の表面をなぞっているうちは古人の想いを感じることは出来ません。そこはやはり打太刀の想いの強さと導く技量がキーになります。
まず打太刀が古人の想いを強く感じること。そして仕太刀がその想いを感じ取れるように打太刀が時を感じて上手く発信する力が無いと成り立ちません。
「啐啄同時の機」
ある会社の研修所に掲げられていた言葉です。
雛は外に出たいという想いで必死に殻の内側からくちばしを使って叩きます。それを感じて親鳥は雛を傷つけないよう慎重にかつ強く殻を叩きます。卵の殻は外側からは割れにくく、内側からは割れやすい形をしています。このあたり、自然界は上手く出来てます。
打太刀の想いに応える仕太刀の想いが同時にぶつかった時に二人の力で殻は破られ、そこで初めて形は完成します。
本来、剣術形とは古人の想いを伝えるためのもので人に見せるもではありません。