いろいろありましたが、何とかスタートを切った「麒麟がくる」ですが、何回か観ていて違和感を覚えたことがあります。今回最も楽しみにしていた衣装です。
華やかな衣装についてはともかく、貴族も武士も商人も農民も同じような明るく派手な色というのはどう考えてもリアリティがないような気がしてなりません。
前にも書きましたが衣装担当はあの黒澤明監督の長女黒澤和子さんです。彼女はこう言ってます。
「戦国時代は武将たちの個性が輝いた時代。これまでになく派手な衣装になる」
確かに武将はそうだったかも知れません。でも貴族、雑兵や商人、農民もそうだったんでしょうか?
私は生まれてこのかた白いズボンを履いたことがありません。ある時、白いズボンを履いていた都会育ちの会員の方に「やっぱり都会の人は違うなあ。芸能人みたいだね〜。」と感想を言ったところ
怪訝な顔をされました。
小さい頃、私の田舎では道路は舗装されているところは限られていて、泥道もたくさんありました。そんな道を子供が白いズボンで歩いたらどうなるか?
そう考えた親は白いズボンなんかは絶対に履かせません。私の田舎では白いズボンを履いている人など見たことがありませんでした。もちろん今は違いますよ(笑)
舗装道路などなかった戦国時代に農作業をしなければならない農民がはたしてわざわざ汚れが目立つあんな明るい衣装を着るだろうか?
出来れば死なずに敵将の首でも取って褒美にあずかりたいと思っている雑兵が戦場で派手な衣装を着るでしょうか?
時代考証はされているようですが、あくまでそれは限定された「ハレ」の日の平和な都での話のような気がします。
薩摩出身の同じ会員の方が、私と同じことを言っていたというのを聞いて、「あ〜私と一緒だ」と感じました。
やっぱりその方も子供のころ周りで白いズボンを履いた人を見たことがないのだろうと想像してしまいました。
人と言うのは育った環境が普段着るものにまで影響するものなんだと妙に納得してしまったわけです。
この歳になっても、つい汚れが目立たない服を選んでしまう自分がいることに驚きです。