「所さんの目がテン!」という番組が好きでよく観ます。
先日は「歩荷」を特集してました。「歩荷」は「ぼっか」と読みます。
車などが入れない尾瀬などの地域の山小屋に荷物を運ぶ職業です。
荷物の重さはなんと100kg!
しかも往復で15kmの距離を1日2回往復することもあるそうです。
この超重い荷物を担いで15kmもの距離を歩く「歩荷」の体つきは決して筋肉隆々というわけではありません。むしろ細いくらいです。
テレビではお笑いタレントが荷物を担いでみるシーンがありました。当たり前ですが最初は全く担ぐことはできません。いや動かすことすら出来ません。
「歩荷」の担ぎ方にはコツがあって、それを伝授されたお笑いタレントがそのコツを掴んでいきます。
さあそのコツですが、これが私たちがやっている普段の稽古にも通じるものがあります。
要は重心の動かし方です。
荷物を身体の重心から離した状態で持ち上げようとすると重く感じます。なるべく身体の重心に近い状態、もしくは一致させられると驚くほど軽く感じます。
鎧は持ち上げようとした時よりも着た時の方が軽く感じると言われるのはそのためです。
さて問題は担ぎ始めです。とにかく100kgを担ぐ訳ですから大変です。
そこで荷物を背負って座った状態から背の高い荷物をまずは倒しながら動かします。その時点では荷物のお尻は地面についてますので、重さは感じません。
動かす理想地点は身体の重心軸です。
この「倒す」という動かし方は静稽会が身体を動かす時に良く使う方法です。倒すことで重心をズラしていくと、身体は重心に引っ張られて動かざるを得ない状態になります。この応用で身体を動かします。
荷物が倒れながら身体の重心に近づく時、これ以上倒れると身体が押し潰されてしまうギリギリ手前でフワッと立ち上がります。身体は荷物に引っ張られて荷物を担いだ身体は自然と前に進みますので意外と楽に感じられるはずです。とは言っても100kgですから。大変な技術だと思います。