最近、読み返した舞踏関連の私の本の中に「野口体操」の創始者である野口三千三氏の本がありました。
春秋社 「野口体操 からだに貞(き)く」
なかなか興味深い本です。
昔、読んだ時にはあまりピンと来ませんでしたが、今読むとビンビン響きます。
その本の中に「卵の立つ話」というのがあります。
「コロンブスの卵」のように卵の尻をつぶして立てるのではありません。
生卵をそのまま立てます。
立てるのはなかなか難しそうです。
やってみました。
あっ!意外とすっと立ちますね。
野口氏はこの卵の立ち姿から重さについて考えていきます。
「卵は立つのが当然の如く立っている。それでいて別に重さに耐えているという感じではない。むしろ、やすらかで透明感がある。ほんとうに、すっきりしている」
そして
「ちょっとの力で卵がたおれるということは、常識的には不安定ですけれども、逆の見方をすれば、ちょっとの力で動くことができるということです」
そこには卵はただ一点で接していても地球の中心とちゃんとつながりができれば安定し、動こうと思えばほんのちょっとの力で動けるという気づきがあります。
まさに動きの原動力は重さで、それは全く逆であるはずの安定と不安定の変化の中にあるからこそ武術的にも意味があるのだと教えてくれます。
卵を立てることからいろいろと広がっていきます。
野口体操をもう少し追いかけていきたいと思います。