稽古では良く「ゆるむ」という言葉を使います。
「ゆるむ」ということは一体どういうことなんでしょうか?
これまでも何度か取り上げてきた難題です。
「ゆるむ」を実感できる一つのメソッドが前回書いた「野口体操」の中にありました。
ヒントになる動き(体操)が言葉とともに具体的に示されています。
「次の瞬間新しく働くことのできる筋肉は、今、休んでいる筋肉だけである」
「はたらく筋肉の数は少なく、はたらく時間は短く、はたらく度合いは低く」
「力を抜けば抜くほど力が出る」
「筋肉と意識を余分に使いすぎるのが現代である」
「筋肉は、うごきのキッカケを作り、うごきが始まってからは微調整すること」
「動きはバランスが崩れないと始まらない。しかし、バランスが取れなければ、動きは成り立たない」
「うごきのエネルギーは、重さにおけるバランスの崩れである。したがって、どのようなバランスの崩れをつくるのかの能力が、どのような好ましいうごきを生み出すかの能力となる」
「いつも固いのはもちろん固い。いつもくにゃくにゃとしているのもこれも固い。では柔らかいとはどういうことか。柔らかさとは変化の可能性の豊かさのこと」
岩波アクティブ新書 羽鳥操著「野口体操入門」
岩波ジュニア新書 羽鳥操、松尾哲矢著「身体感覚をひらく」から
こうした言葉とともに具体的な動き(体操)が提示されています。
「上体のぶら下げ」
「腕まわし」
「腰まわり」
「胸まわし」
「波の動き」
「やすらぎの動き」などなど
やってみると「ゆるむ」ことの深さを実感できます。
「事実と実感と意識と表現の間にはズレがある」
これも野口体操創始者野口三千三の言葉です。
やはり「ゆるむ」を伝えることは難しい・・・
でもこんなことも言ってます。
「今まで出来なかった難しいと思われるうごきに向かいあったとき、緊張努力を増すことで、解決しようとする姿勢が多く見られるが、それは大きな間違いである。-中略-楽であるということは、決して消極的な概念ではなく、ゆとりある積極的なあり方である」
無理をしないこと
やりすぎないこと
継続できること
楽しくやることが大切なんだと言ってます。
この言葉に勇気づけられます。
ゆる~く、なが~く、楽し~く稽古しましょう!