小吉の女房2

NHKBSで「小吉の女房」のシリーズ 2が始まりました。

 

以前にも書きましたが、勝海舟(勝麟太郎)の母親(お信)と父親(小吉)のドラマでなかなか面白いです。

 

そんな中で既にシリーズ 1から出ていましたが、里見浩太朗が演じる「石翁」が気になります。

 

隅田川の河畔、白髭神社の近くに隠宅を構えていた中野播磨守清茂こと「石翁」は、小姓頭取、小納戸頭取を経て文政10年(1827年)に新番頭格式となった旗本で実在の人物です。石高は低かったものの、養女が将軍家斉の寵愛を受けたことで実力者となったようです。隠居したのちも江戸城に出仕し、幕府に隠然たる勢力を保っていたような人物でしたから通常時代劇の中では大抵典型的な悪玉として描かれていることが多くて、「小吉の女房」の中でも石翁に賄賂を届けるシーンが出てきます。

 

しかし、珍しくこのドラマではお信を陰で助ける善玉に描かれています。

まあ演じているのが里見浩太朗ですからねー

 

そんな石翁の話が平戸藩藩主 松浦静山の「甲子夜話」に書かれています。

ちなみに松浦静山は石翁とは親しくお付き合いをしていたようです。

(「甲子夜話」は江戸時代後期の噂話などをかき集めて書いた"名著"です)

 

「甲子夜話」によれば石翁はいつも雛人形を側においており、総じて遊び道具などの趣味が女性そのものだったそうです。隠居宅の装飾も華やかでどこか女性を思わせるようだったと書かれてます。

 

またある時、石翁がブラブラと歩いていると火事に見舞われて仮営業していた遊女屋に無理矢理引き込まれてしまい、仕方なく座敷に座ったが、石翁は早く帰りたい。でもなかなか帰してくれない。切羽詰まって身分を明かしたところ店の者たちはビックリ。人目を気にして表口から出ることを嫌がった石翁ですが、その遊女屋は仮営業だったので裏口がない。仕方なく隣家の壁を突き破らせて、隣家の裏口から川船で帰ったというエピソードがあります。

 

随分と面白い人だったようですね。

 

ドラマの中でも描かれていますが、そんな石翁もやがて水野忠邦の天保の改革によって華やかな隠居宅を追われます。