切腹の短刀は九寸五分が作法にかなっていると言われています。歌舞伎などで「九寸五分(くすんごぶ)手に取り」と言えば切腹を意味します。
ちなみに私の短刀は八寸八分です。実際に自分の短刀を手にしてみると、切腹に九寸五分はいささか長いのではと思ったりもします。もしかしたら私の知らないことがあるのかもしれません。
そう言えば映画やテレビの時代劇の中での切腹シーンに出てくる短刀には柄がついていません。
奉書紙で短刀の刀身をぐるぐると巻いて腹を切ってます。
これはなぜなのか不思議に思ってました。ある資料によれば柄の目釘を抜いた状態にしたものもあったそうです。
それはなぜか?
それは切腹人が最後まで抵抗して介錯人などに斬りかかる場合を想定していたのではないかというのです。
恐らくそうした前例があったのでしょう。確かに目釘を外したり、柄を取り外した状態なら短刀での戦闘は難しくなります。
確実に切腹を執り行うよう念には念を入れた仕組みです。
ちなみに私の短刀は新々刀「寿命」ですが「寿命」はその瑞祥銘から縁起の良い刀として珍重されたそうです。
もしかしたら「九寸五分」には至らないよう八寸八分で末広がりの「寿命」という縁起を担いだのかもしれません。
あくまで想像ですが。