皆さんは相槌を打ったことはありますか?
「うんうん」
いやいやその相槌じゃあなくて、刀鍛冶が鋼を鍛える時の相槌です。
鋼を折り返して鍛えることを鍛錬と言います。鍛錬は不純物を取り除き、鋼の中の炭素量を均一化させることが目的です。
昔の刀鍛冶はこの鍛錬に槌(ハンマー)を使っていました。
師匠は小槌を使って弟子にどこにどれくらいの強さで大鎚を打って欲しいかを金敷(台座)を叩いて知らせます。
それに合わせて弟子は「相槌を打つ」ということになるわけです。
これが「相槌を打つ」の語源です。
最近では、相槌を打つ役割である弟子の「先手」の役割は機械のハンマーに代わっているようですが。
私はこの大鎚を持たせていただいたことがあります。静稽会刀剣顧問のH刀匠のものでした。振り上げてみると、これが恐ろしいほど重くて、とてもH刀匠のように振り上げられるものではありません。
振り上げるのさえ四苦八苦していた時、むしろ振り下ろす方が難しいのだと教えてくれました。
いわゆるハンマーヘッドの部分を鋼に対して均一に垂直に振り下ろすのは相当難しいそうです。確かに言われてみればその通りです。
H刀匠が振り上げ方を見せてくれました。
あっ!これどこかでみたことがある!
H刀匠の大鎚の振り上げ方はまさに薩摩の剣の構えそのものでした。
静稽会で薩摩の剣の使い手であるHKさんがH刀匠に「弟子入り」したと言ってました。もしかしたらHKさんも大槌の構えの向こうに薩摩の剣を見ていたかもしれません。