武士草履

人気の観光地などに行くとよくこんなことを言ってる人がいます。

 

「いやだ〜!なんでこんなに混んでるの〜!信じられな〜い!」

 

いやいやあなたもその人混みの一人ですから〜残念〜!

ギター侍(波田陽区)風

(かなり古い?)

 

あ〜でもそれ自分も言ってるかもなー!

再び残念〜!

 

山本周五郎に「武士草鞋」という作品があります。

     

出羽国新庄藩出身の武士宗方伝三郎は潔癖で正義感の強い性格です。

曲がったことが大嫌いで、融通が利きません。そんな訳で正しいことが通らない世の中に対して不満を募らせます。

     

そんな宗方がお家騒動の中、持ち前の正義感から藩を辞することになってしまいます。

その後、江戸に出るも金儲けばかりに執着する人たちに嫌気がさし、正しいことが通らないこの世を儚んであてもなく東海道を歩きます。歩いて、歩いて、そして行き倒れ。そんな時、律儀な老人と孫娘に助けられます。

 

しばらくその家で世話になっていましたが、何もしないでいることに慚愧の念が起こり、故郷でよく作っていた丈夫な草鞋を作って売ることで役に立ちたいと考えますが・・・

 

やはり世の中は儘ならないと知るべし。しかしそれは本当に自分が正しくてすべて世の中が悪いのでしょうか?

     

続きに興味のある方はぜひ読んでみてください。新潮文庫「つゆのひぬま」に収載されてます。

山本周五郎の時代小説は名作揃いです。

 

ちなみに私は名優鈴木瑞穂氏の朗読CDで聴きました。鈴木瑞穂氏の朗読は最高です。引き込まれます。