稽古を始めてまだ間もない頃に肘を痛めてしまったことがあります。
そんな時に桐で出来ている木刀があることを知りました。
想像以上に軽い桐木刀です。
太くて重い木刀を振る稽古は聞いたことはありましたが、軽い木刀を振る稽古ってどうなのか?と思いつつ、桐木刀での稽古に臨みました。
振ってみると見事に桐木刀がブレまくります。思いがけない動きをする桐木刀を見て、これが今の自分の素振りだと認めざるをえませんでした。
そうか、だから肘を痛めるのか・・・
腰を据えてじっくりと桐木刀と向かい合う覚悟をしました。
体の一部に負荷のかかる振り方
不必要な握り込みの強さ
相反した筋肉の動き
間違った関節の使い方
タイミングなど
桐木刀はいろいろなことを静かに教えてくれます。
この稽古は刀の振り方だけではなく、それまでの体の使い方全体を見直す良い機会になったと思っています。
数ヶ月ほど桐木刀稽古を続けた結果、通常稽古でも肘の痛みは全く無くなりました。
そしてその時の稽古のおかげでその後十数年経ちましたが、肘が痛くなったことはありません。
さらには以前よりも刀が軽く感じるようになりました。
世の中に無駄なことは一つも無いのだと思います。
今、その桐木刀は別の人に稽古をつけています。
どんなことでもそこから何を得られるか、得られないかはその人次第なのだと思うのです。
今年最後の静稽録を読んで下さってありがとうございました。
来年も引き続き楽しく、静かに稽古を続けていきたいと思っております。
それでは良いお年をお迎え下さい!