お正月に霜剣堂さんの昨年カレンダーをしげしげと眺めておりました。
このカレンダーには月ごとに一振ずつ刀の写真が掲載されています。
1月から12月まで計12振を改めて通しで眺めてみました。もちろん全部素晴らしい刀ばかりです。
結論は1月が私の一番でした。
この1月の刀はカレンダーの表紙にもなっています。
刀は芸州浅野家 国安(粟田口)。
なんとも言えない凛とした気品があります。
小さな切先からスーッと伸びる緊張感のある曲線がたまりません。
焼き入れの瞬間に気を凝縮して封じ込めた刀姿に霊力すら感じます。
この姿、何かに似ていると思って、しばらく眺めていました。
あ~思い出しました。
宮本武蔵の「枯木鳴鵙図」です。
絵から伝わる静寂と緊張感がどこか似ている感じがします。
枯木と刀の姿が重なります。
武蔵はあの枯木の線を一筆で一気に引いたと言われています。張り詰めた空気感がそのまま絵に投影されている感じです。
人を斬るように線を引いている武蔵の姿を夢想してしまいました。
そういえば昔、仕事で中国に行った時に中国の有名な書道家とお会いする機会に恵まれ、書くところを見せて頂きました。
その書道家は静かに舞踏を舞うように書いていました。
そんな書き方を観たのは初めてだったので、すごく驚いた記憶があります。
そして書き上げた書には気が満ち満ちていました。
ちなみにその書道家は太極拳の名手でもあるとあとから教えていただきました。
舞踏だと思ったのは太極拳だった訳です。
いずれの道も底流には同じものが流れているのかもしれません。
前年のカレンダーからこれだけ楽しめればこのカレンダーも本望かも知れませんね。
残念ながら今年のカレンダーはまだ手元にありません。