度々の「カムカムエブリバディ」で申し訳ありません。
伴虚無蔵はこんな事を言ってました。
「黙って鍛錬せよ。日々鍛錬し、いつ来るとも分からぬ機会に備えよ」
よく「いざ鎌倉」などと言いますが、「いざ鎌倉」を実行するには決意だけではなく、その時をシミュレーションする想像力と日々の準備と鍛錬が必要です。
能の演目に『鉢木(はちのき)』というのがあります。
「いざ鎌倉」はその謡曲の中の佐野源左衛門常世という人物のセリフです。
「謡曲」は能の中で謡いながらセリフを言う部分です。ミュージカルで言えば声楽部分ですかね。
考えてみれば能は日本の古典ミュージカルとも言える!
話が逸れました。
鉢木物語はこんな感じです。多分、聞いたことがある方も多いかもしれません。
雪の中、上野国 佐野まで来た旅の僧は一軒の人家に宿を借りようとします。亭主は窮乏ぶりを恥じて一度は断ります。しかし心残りに思っていた亭主は去ってゆく僧を呼び止め、わが家へ迎え入れます。
亭主夫婦は、僅かに残っていた粟の飯を僧に提供し、大切にしていた鉢木を火にくべて僧のために暖を取ると、零落以前の日々を語り出します。佐野常世と名乗る彼は、一族に領地を奪われて今の窮乏に至ったと明かし、それでも「どんなに貧しくても武具と馬は手放さず、いざというときには、真っ先に鎌倉へ駆けつけ、命がけで戦う」と決意を語ります。その覚悟を聞いて僧は、名残りを惜しみつつ別れてゆきます。
そののち伝わってきた鎌倉一大事、武士一斉招集の知らせ。全国から集結してくる武士達に混じって常世は鎌倉へ急ぎます。到着した彼は、執権・北条時頼からの呼び出しを受け、実はこの時頼こそ、以前の僧の正体だったことを知ります。常世の覚悟を見届けた時頼は、かつての彼の本領を取り返し、さらに新たに領地を与えると、彼の心意気を讃えました。
めでたし、めでたしとなります。
馬の世話こそしませんが、いざという時のためにせめて武具の手入れと体の鍛錬くらいは日々心掛けたいと思っております。
ちなみに現在放映中の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」主人公北条義時は鎌倉幕府2代執権ですが、時頼は5代執権となります。
「鎌倉殿の13人」本編終了後の紀行紹介コーナーで流れるポール・ギルバートのギターが素敵です。