永世中立国であるスイス政府編の「民間防衛」(原書房)という本があります。
武術の会のHPでこんな本を紹介すると、もしかしたら勘違いされるかもしれませんが・・・
いろいろ考えさせられます。
本にはこんなことが書いてあります。
「われわれは、脅威に、いま、直面しているわけではありません。」
としながら
「侵略に対する抵抗の力というものは、即席にできるものではありません。」
「「わが国では決して戦争はない」と断定するのは軽率であり、結果的には大変な災難をもたらしかねないことになってしまう。」
この本では戦争は武器を持って戦う軍人だけがするものではなく、いったん戦争が始まってしまうと民間人が影響を受けることはたくさんあって、その前にやるべきこともたくさんあるとその具体例が列挙されています。
核攻撃などは他国に及んだとしても離れた国にも広範囲にその影響を受けることが考えられます。そんな時どうするのか?
そしてそれにむけて準備は出来ているのか?と。
本の中では
避難所の建設の必要性と避難所の食糧備蓄や飲料水確保、ケガ人用の血漿、食塩、ブドウ糖、麻酔薬が避難所にはどれだけ準備が必要か?
核シェルターの必要性と避難の仕方、放射能に対する知識はどうか?
生物兵器や化学兵器に対する知識や準備は十分か?
戦争による環境破壊に対する知識や準備は?
などなどが想定されています。
さらには
個人として被災者への救護対応が出来るか?
消火活動は出来るか?
避難所では何が出来るか?自分の役割は?
などなど
徹底したリアリズムで具体的に民間人が必要な知識や準備すべきことが書いてあります。やや書いてある内容が古いかも知れませんが・・・
この本ではさらに
万が一侵略者に支配されてしまった場合のレジスタンスのことまで書いてあります。
このところ軍備増強を声高に唱える人もおります。
もちろん軍備を増やすことも大切かもしれませんが、それ以前の問題として国も個人も事前準備するべきことはたくさんあるような気がします。
戦争は無いに越したことはありません。平和が一番です。
でも意に反して始まってしまった時に自分には何が出来るか?
平時にこそ考え、知識を蓄え、準備し、日々鍛錬しなければならないと考えさせられる本でした。
賛否はともかく武術を志すものこそ一度読んでみる価値はあると思います。