私は割と夜目がききます。
闇夜の戦いとなれば負けない気がします(笑)
これまで「夜目がきく」のは遺伝だと思っていました。母親もそうだったので。しかし最近はそれは遺伝だけとも言えないのではないかと思うようになりました。
あくまで私個人の考えです。
ある時、妻と月明かりの話をしていた時のこと、月明かりを感じる度合いがあまりにも違いすぎると感じたことがありました。
私は田舎育ちです。子供の頃はまだ街灯も少なく、ちょっと街中を離れると本当に真っ暗闇なところがたくさんありました。そんな田舎の月明かりは昼間のように明るく感じます。妻は「それにしても月明りが昼間のようだとはあまりにも大袈裟だ」と言うのです。
先日、世の中に「闇歩きガイド」と称する人がいることを知りました。
中野純さんです。「体験作家」とも称しているようです。
NHKの「SWICHインタビュー達人達」で片桐はいりさんと対談しているのを観て初めて知りました。彼は闇にこんな感覚を持つようです。
「はっきり見ない闇は楽ちん」
「よく見えない時間は必要」
「自分と闇との境目がなくなる」
「闇では何からも解放されていく」
そんな彼が言います。
「闇の中では全体視力が必要」
「目を凝らして見ようとせずにぼーっと見る」
ん?これはどこかで聞いたような・・・
確かに田舎の闇はあまりにも深くて、目を凝らして見ようとしても見えないのです。ぼーっと見て感じとるしかない。
そんな力は遺伝というよりも田舎の人の「知恵」?「訓練」?もしくは「こつ」?なのではないか?と思ったりします。
昔、都会育ちの妻が私の実家に来て夜の暗闇の深さに驚いたことがありました。そして真っ暗闇の中を懐中電灯も持たずに歩いている人がいることにもっと驚いていました。
そうなんです。田舎の人は真っ暗闇の中、灯り無しでも歩けます。
見えているのか?と言われると微妙です。半分見て、半分感じているのかもしれません。
何を?・・・気配を。
番組では片桐はいりさんが中野純さんと真っ暗闇の中、ナイトハイクをします。片桐さんは都会育ちです。全く見えないので四つん這いになって必死に登り続けますが、やがて木や花の香り、建物の気配まで感じとれるようになります。
全体視力のコツを掴んだ?頃にやがて月が出始めると
「昼間の明るさみたいですね〜」
実は2016年7月3日付けの静稽録でも書きましたが、片桐はいりさんは武術研究家甲野善紀さんともこの番組で対談しています。
さらに2021年1月22日付けの静稽録では「陰翳礼讃」で闇中の美しさについても書きました。良かったらHP下にあるサイトマップで遡ってみて下さい。