長いことコロナなどの影響で出来なかった静稽会試斬会が先日ようやく実施されました。
いつもながら思うことですが、刀はなかなか自分の思う様にはなりません。
歌舞伎に「梶原平三誉石切(かじわらへいぞうほまれのいしきり)」通称「石切梶原」という演目があります。
NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の中で歌舞伎役者中村獅童さんが演じた梶原景時にまつわる刀の目利き、試し斬りの物語です。
景時が鶴岡八幡宮の大きな石の手水鉢を真っ二つにするシーンが見せ場です。
「鎌倉殿の13人」では景時のこんなセリフがありました。
「刀は斬り手によって名刀にも鈍(なまくら)にもなる」
「なまくら」とは切れ味の悪い刀なのことです。
ドラマ的には意味深なセリフですね。
「石切梶原」のように元々の試斬(試し斬り)というのは刀がどれほどの切れ味があるかを試すことを言います。
静稽会の試斬会で試されるのは刀ではなく斬り手です。
技術だけではなく斬り手の心も試されます。
単なる刃筋の確認ではなく心を磨く稽古と考えています。
「石切梶原」の景時は一体、何を斬り、何を斬らなかったのか?
景時にとっての「名刀」とは?
そんな目で歌舞伎「石切梶原」を観ると面白いかもしれません。
静稽会試斬会もなんでも斬れば良いということにはなりません。