GW中の観光地で着物を着付けしてもらった若い女性が「帯がキツくて吐きそう」とトイレに駆け込んでいく姿がテレビに映し出されていました。
やはり慣れない人には着物は辛いものなのか?
基本、帯だけで衣服を留める着物は着慣れた人には限りなく楽なんですけどねえ・・・私にとって稽古着はジャージと同じ感覚です。
ただでさえ普段、着慣れない着物を他人に着付けしてもらうとどうにも辛いものになるようです。
洋服はボタンやベルトで体にフィットさせますが、着物は基本的には帯(袴の場合は袴紐も)のみです。しかも帯の位置や締め加減は本人次第。これほど自由な服はありません。
ギターには指板上に打ち込まれた棒状の金属「フレット」と呼ばれるものがあります。この「フレット」を目印に指で押さえれば目指す音が出ます。
しかし三味線などには「フレット」はありません。
この感じは着物を着る時の感覚に似ています。
自身の着付けには「フレット」に代わる「勘所」が必要になってきます。
「勘所」さえ掴めばもう自由自在です。私は体調によって締め具合を変えたりします。
稽古では激しい動きをする訳ですから、普段着の着物よりも着崩れる可能性が高くなります。
稽古着が着崩れないようになるためには古(いにしえ)の人たちの体の動きに倣う必要があります。
稽古着の着付けも稽古着を着た時の体の使い方も「古(いにしえ)を稽(かんが)える」稽古に繋がっています。
まずは自分の体を感じること。「勘所」を掴むこと。
帯の締め具合、袴紐の締め所などを変えて自分の体を感じながらやってみると楽しいと思います。
もちろん着付けの基本はありますが着付けは絶対にこうするべきだということはありません。自分の体に合わせてある程度アレンジするのはありです。
ただ慣れないうちは稽古中に着崩れたら着付けの仕方を見直すだけではなく体の使い方が違うのかもと疑ってみることも必要です。