NHK朝ドラ「らんまん」では明治維新で失われていく日本の文化や日常が描かれています。
着物を脱ぎ捨てドレスになるシーン
日本酒の酒蔵が消えていくシーン
西洋式の軍事訓練
日本の伝統的な音楽が蔑まされるシーン
踊りがダンスに変わるシーン
「西洋を取り入れることは目的ではない、手段である」と自らの意志で日本が「小さい西洋」になっていくこれらのシーンが印象的です。
日常の服装や家具、道具、食べ物、飲み物、音楽、踊りなどが西洋式に変わっていくと体の使い方、さらには心までも大きく変わっていきます。
そしていつの間にか・・・失われてしまった・・・とは言いたくありませんね。
瀕死とは言えまだかろうじて息をしています。
残った断片を拾い集めれば昔の日本を蘇生できるヒントがあるのではないか。
そしてそんな断片は居合の中にあるのではないか。
先日終了しましたが、市川市の居合講座にたくさんの方々が応募してくれました。
そして講座の継続を望む方々の力で6月から新たなスタートを切ることが出来ました。
日本の失われつつあるものを求める人はまだまだいるのだと再認識しました。
居合を単なる武術としてではなく、もっと広く日本の文化として求めている人たちがいることは大変心強いことです。
朝ドラ「らんまん」では、今、主人公の槙野万太郎が石版印刷の修行中です。
かつて浮世絵は版元、絵師、彫り師、刷り師といった分業(協業?)で成り立つ文化でした。それが明治になって石版印刷が出てきたことで、絵師と版元以外はその仕事を失っていきます。
石版印刷を手放しで讃える万太郎に対して絵師が言います。
「あたしらに消えろと言うのか?こんな印刷機が出てくれば彫り師も刷り師もいらなくなる。みな名も残さず消えていく」
しかし万太郎は静かに言います。
「失われないと思います。腕を競い、技を誇った職人たちは新たな場所に根付いて芽吹くはずです」
日本刀も刀工、研師、鞘師、白銀師、柄巻師、塗師などの分業です。それはかろうじて現代も変わりませんが、それぞれ本業のみでは簡単に食べていくことが出来ないのが現状です。
居合を知り、袴を履いて、日本刀で稽古することが「根付いて芽吹く」ことにつながってくれたらと願っています。