ちょっと前の話題で恐縮ですが、
藤井聡太氏が八冠制覇を成し遂げました。
10月16日の日経新聞文化面に王座を明け渡した永瀬拓矢氏へのインタビューが載ってました。
その中で永瀬氏は
「藤井さんのすごいところは集中力。あと(自分にとっての)損得で考えないところ。それは「人間をやめている」とも言える」
「藤井八冠は(将棋の勉強の邪魔とも言えるイベント出演といった対局以外の)仕事を断ってベストを尽くすのではなく、頼まれたら全部やる。その上でベストを尽くす。普通は(仕事を減らすなど)環境を変えようとする。そのような考え方があるのかと、発見だった」
また藤井聡太八冠達成についてのインタビューで師匠の杉本八段はこんなことを言ってます。
「彼(藤井聡太)は目の前の勝利にはあまり興味は無いのではないかと思う。一盤の一手一手にひたすら向き合っているのだと思う」
師匠の言う通り、藤井聡太氏は八冠達成のインタビューで「八冠は目標ではない」とハッキリと言っています。
彼はタイトルが目標ではない、さらに勝つことだけを求めているわけでもないと言い切ります。
では何を求めているのか?
師匠の杉本八段曰く「彼はただただ将棋が好きでその好きな将棋で負けたくないのだ」
永瀬氏は藤井聡太八冠は「人間をやめている」と言いましたが、実は逆でとても人間的な人なのではないかと思います。
彼には将棋に関して「努力」という観念はないのでしょう。
大きな意味で将棋そのものが好きなので将棋が出来る環境も大切にしたいと思っているのだと思います。
本日、第12回稽古総見が無事終了しました。
実はゲストでご参加頂いた翡縁会さんの稽古日誌ブログには稽古総見を意識した稽古のことが書かれていました。
とても嬉しくなりました。
もちろん稽古総見を主催する私たちの稽古も同じです。
稽古総見は開始前にはその目的の大半が終了します。
楽しく、静かに稽古することが静稽会の目的です。
そのために設立された会です。他に目的はありません。
稽古総見自体は会の目的ではありません。あくまでも目的は普段の稽古にあります。
しかも楽しく、静かに稽古すること。
確かに普段の稽古が目的ですが稽古総見を軽く捉えてしまうと稽古が楽しくない。日常と非日常はそのコントラストが強いほど楽しく、地味な稽古が一瞬の輝きを支えます。
そして自分が稽古が出来る環境も大事で蔑ろに出来ないし、蔑ろにしたら稽古自体が出来なくなってしまう。
きっと藤井聡太八冠は将棋をそんな風に考えているのだと思います。
稽古の大好きなゲストの皆様、本当にありがとうございました。
今日も楽しく、静かに稽古が出来ました。
ぜひまた来年もやりましょう!