放てば手に満てり

最近では雇用延長もあり65歳が完全リタイアというサラリーマンも多いかと思います。昨年、同い年の連中からゾクゾクと飲み会メールが来ました(笑)

 

「これから何やったらいいかな?」

「知るか!」

 

また経営者の方には定年はありませんが、それでも体力、知力の限界はいつか必ずやって来ます。

 

リタイアすると心や体を病む人が多いと聞きます。

 

リタイアをきっかけに「不安」と「孤独感」にさいなまれて「うつ」や「病気」になってしまった・・・よく聞く話です。

 

2018年1月28日に「孤独担当大臣」という題で静稽録を書きました。

 

「孤独」は今でも大変な社会問題です。だいぶ前ですが渡辺淳一氏が「孤舟」という小説を書いてました。仕事熱心な方は身につまされたのではないかと思います。

 

「現役」時の地位が高ければ高いほど、その地位にいた時期が長ければ長いほど降りる時の落差は大きく感じるそうです。

 

山登りは下山の時が一番危険だと言われています。

登った山はいつか降りなくてはならない、ならば出来るだけゆるやかに降りたいものです。いきなり崖から落ちると大怪我をしてしまいますから。

 

また「山へ登りっぱなしのことを遭難というのだ」と心理学者のユングが言ったそうです。「遭難」が一番他人に迷惑を掛けます。

 

実は仕事だけでなく、趣味でやっているスポーツなどにも思わぬリスクがあります。

 

リタイアを機会に生きがいと体力維持を求めて意気込んでスポーツなどを始める方は多いと思いますが・・・

 

競い合うスポーツでは負けるようになると面白くない、自分が脱落したような気分になる・・・

チームプレーではチームに迷惑を掛けてしまう、病やケガで休みがちになると元気に続けている仲間と比較して疎外感を感じてしまう・・・

 

そんな仕事のような価値観に囚われたままでは楽しくないし長続きしません。

 

人とは比較せず、楽しく、静かに、自分のペースで稽古することが肝要です。

 

「放てば手に満てり」


武術の極意にも通じるのではないかと思っています。