私が子供の頃と今とでは日常生活がまったく違います。
昔は掃除、洗濯、炊事、家事全般、移動手段などの体にかかる負荷が今とは比べものになりませんでした。
身近なところでも座敷の立ち座り、布団の上げ下げ、雑巾掛け、和式トイレ、布オムツ・・・どれをとっても体に負荷がかかることばかりです。
現代は負荷が少なくなった分、日常生活だけで体が鍛えられることはほぼなくなりました。
刀を差していた時代と比べればなおさらです。
これまで「筋トレ不要の居合」と言ってきた私ですが、今は少し考えが違います。
あくまでこの「筋トレ不要」は昔の人の日常生活で培われた筋肉と柔軟性があるということが前提になります。
昨年5月の市川市居合講座以来、その時の受講者を中心に初心者稽古(基礎稽古)を月2回継続実施してきました。みなさん50歳以上です。
既に10ヶ月ほど経ちました。
当初は何をどの程度の強度でやればよいのか?どれくらいの時間やったらよいのか?など探りながらのスタートでした。
初回の皆さんの動きを見て、すぐに関節の可動域や必要最低限の筋力が足りないと感じました。そこで稽古時間の半分以上をストレッチと基礎的な筋力アップに当てることにしました。
どうやったら居合稽古に必要な筋力と柔軟性が鍛えられるのか?
私自身も心身の医学的知識やケガをしないための筋トレやストレッチの実技を深く学ぶ必要に迫られました。
そのことは結果として公益財団法人日本スポーツ協会のスポーツコーチングリーダー資格取得という形になりましたが、そもそも「居合はスポーツではない!」「武士は戦う前に準備運動などしない!」と言っていた私が・・・
世の中なにがどこでどうなるかわからないものです(笑)
ただ今でも居合はスポーツとは思っておりません。
最近ではみなさんようやく居合をやるための基礎体力や柔軟性も出来てきたので、木刀とプラスチック鞘を使った居合稽古に入りました。
これまで多くの初心者を見てきましたが、日常的に運動をしてこなかった50歳以上の方はほとんど基礎体力と柔軟性がありません。
蹲踞や跪坐や正座が出来る、座礼が出来る、正座から正しく立ち上がれる、木刀が振れるなど、居合に最低限必要な基礎体力や柔軟性を待ち合わせていなければ居合稽古は始められません。
さらに居合初心者はどうしても体育の授業で習った体の使い方をします。
実は体育で習った体の使い方と居合の体の使い方には大きな違いがあり、そのまま無意識に居合の動きをやってしまうと体に無理な負荷がかかってしまいます。
そもそも学校体育で習った体の使い方と居合の体の使い方では同じような動きでも使う筋肉が違ったりします。当然、使う筋肉が違えばパフォーマンスも違ってきます。
さらにベースとなる筋肉全般が衰えている人がいきなり居合稽古を始めると故障を起こす可能性もあります。これはスポーツでも同じです。
初心者稽古(基礎稽古)では体を痛めないために慣れるまで準備期間を設けて最低限必要なストレッチや筋トレを実施してきました。
本格的な稽古はいよいよこれからです。