高校の剣道部顧問が居合の体験稽古中に真剣で生徒にケガをさせたというニュースがありました。
剣道部顧問は70歳。居合道6段だそうです。
顧問は「まさか(自分の刀が)当たるとは思わなかった」と・・・
しかも「間合い」の稽古の最中に顧問の刀が生徒の太ももに刺さってしまったそうです。
「間合い」の稽古が必要だったのは顧問の方だったようです。
そもそも、それ以前に真剣や模造刀で間合いの稽古をするなどとんでもないことです。
さらに体験稽古中の不慣れな生徒を相手にしていた訳ですから真剣や模造刀で指導すること自体が顧問の過信と安全面に対する認識の甘さと言わざるをえません。
もちろん居合など古武術(古武道)の稽古はケガをするリスクを伴います。それは一般のスポーツと同じです。
スポーツでも水泳の飛び込みや柔道の乱取りなどでは大きなケガをする事例も少なくありません。
それでも水泳は水中からのスタートを指導するなどの対応をとったり、柔道ではスプリング効果のある畳を使ったり、技の安全性などに一定の配慮があります。
また剣道も竹刀や防具などを使用することで安全面に配慮しています。
果たして古武術(古武道)の稽古は安全面にしっかり配慮されているのか?
時々、古武術(古武道)を稽古する人たちに安全に対する鈍感さを感じることがあります。
もしかしたら気が付かないうちに私自身もそうなのではないか?
慣れてしまってはいないか?
常に自分に問いかけています。
昨年、日本スポーツ協会のスポーツコーチングリーダー資格を取得する際にスポーツの安全管理を学びました。
その時に古武術(古武道)を稽古する私たちこそ安全を考慮しつつ古武術の魅力を減じることのない稽古を工夫をする必要があるのではないかと強く感じました。
「他山之石、可以攻玉」
こうした事故が起きるとどうしても簡単に禁止、規制の方向に傾きがちですが、このことをキッカケに伝統文化や稽古の面白さを安全性と両立させる工夫をすすめていきたいと思っています。
ちなみに静稽会では間合いの稽古には必ず袋竹刀か木刀を使っています。
そしてこれまで設立以来13年以上、安全に稽古を続けています。
これからも楽しく稽古を続けていきたいと思っています。