NHK朝ドラ「ブギウギ」の主役福来スズ子のモデル笠置シヅ子さんは私が以前住んでいたアパートの隣りに大きな家を構えていました。
時々、広い庭に出てきて水を撒く姿をお見かけしましたが、当時はこれほど有名人だったとは知りませんでした。私の世代よりもひとつ前の世代ですかね。
「ブギウギ」福来スズ子役の趣里さんはキャンディーズの伊藤蘭さんの娘さんです。
ドラマを観ているとやはり伊藤蘭さんがダブります。
また歌手の宇多田ヒカルさんの母親は藤圭子さんです。宇多田ヒカルさんの声の中にはまさに藤圭子さんが生きています。
お二人の親の活躍していた時代を知っている私は二重に楽しませていただいています。
遺伝子を継承するというのはすごいことですね。
武術の世界も親から子に継承されてその技を引き継ぐ例が多くみられます。
もちろん既得権益や遺伝子の継承という面はあると思います。
でも果たしてそれだけでしょうか?
武術で一番難しいのは「立つ」「歩く」と言った基本的な身体操作です。
本来、誰でも出来ることです。しかし誰でも出来るからこそ難しいとも言えます。
その理由はみんなが出来る「立つ」「歩く」と古武術の「立つ」「歩く」が違うからです。
古武術習得ためにはこれまで使い続けて既に体に染み付いている「立つ」「歩く」を一旦捨てなければなりません。
その捨てる稽古に意外と時間がかかります。昔と時代や生活、服装なども違う訳ですからなおさらです。もしかしたらここが一番難しいと言えるかもしれません。
しかし武術家の親に育てられた子は物心ついた時から親の指導を受けることが出来ます。まだクセのついていない白紙の時期に継承が始まります。
さらには生活の中で親の「立つ」「歩く」を見て育ちます。
子は親を見て育ちます。そして親のマネをします。
武術家の家に生まれた子はその遺伝子の継承ともに生活の中で常に稽古し続けてきたとも言えます。
歌舞伎、日本舞踊なども親から子に継承されていく例が多いのも同じ理由からかもしれません。
なんだか羨ましい気もしますが、継承者には私たちの知りえない苦悩もあるのだと思います。
私が知っている武術家の方々にも世代交代がすすんでいるようですが、その継承者の方々にはぜひ頑張っていただきたいと思っております。