失って手に入れるもの

昨年末に薩摩剣の使い手Hさんと久しぶりにお会いする機会がありました。お互いに年をとったという話のあとにHさんはこんな話をしてくれました。

 

「私の師は、「できなくなったり、(能力的に)失われたものがあった時には、その時にこそは、敏感になれ」

と私を諭した時がありました。

もう、はるか昔の話ですが、そんな時には必ず

「今までできなかったことができるようになったり、新たな何かを得ているはずだから」というのです」

 

ケガの時に「いい稽古になる」という翡縁会多々良先生の言葉にも通じる話でした。

 

ヒトと同じ霊長類チンパンジーの寿命は40歳だそうです。

 

動物学者によると普通の動物は生殖機能が衰えて子孫を残す能力が無くなると寿命を迎えるように出来ているとのこと。

だからチンパンジーには「老後」の心配がないらしいです(笑)

 

ではなぜヒトはそれ以降も長生きするのか?

 

ヒトの場合は集団として生き残るために40歳以降の能力が必要だからだそうです。

その能力とはなんでしょうか?

 

ある意味、本能に引きずられて動物的な生き方を優先しているのが40歳までで、本能から解き放たれて生きることが出来るのが40歳以降とも言えます。

 

40歳を超えてようやくチンパンジー的な生き方から人間的な生き方になる?(笑)

 

ヒトは体の衰えと引き換えに本能に引きずられない能力を手に入れるというわけです。

 

だからこそ集団の中で本能に引きずられている若輩者を智慧で導くことが出来る?

あるいは本能に引きずられない戦い方が出来る?

 

実際には40歳過ぎても本能に引きずられているヒトは結構いるように思いますが・・・動物としての寿命が延びたせいでしょうか?

それでも体の衰えと引き換えに別の能力が備わるというのは朗報です。

 

40歳どころか60歳も随分と過ぎた私には代わりにどんな能力が備わったのか?

 

何を失って何を手に入れたのか?

確かに敏感になって見極めないとせっかくのギフトが無駄になってしまいます。