「春雨じゃ・・・濡れて参ろう」
新国劇「月形半平太」で舞妓に傘を差し出された時の月形半平太のセリフです。
昔はほろ酔いのサラリーマンが季節も考えずに気取って使ってました。そしてずぶ濡れに・・・春雨じゃあなければ当然そうなります(笑)
ちなみに月形半平太は土佐勤王党武市半平太がモデルになってます。
劇作家行友李風の作り出すセリフは記憶に残ります。
「国定忠治」なんかは子供の頃に聞いたセリフなのに今でも覚えています。テンポが良いのかもしれません。
「赤城の山も今宵を限り、生まれ故郷の国定の村や、縄張りを捨て、国を捨て、可愛い子分のてめえたちとも別れ別れになる首途(かどで)だ〜!」
「心の向くまま、足の向くまま、あてもねえ旅に立つのだ〜」
「親分!」懐かしいですね〜
そう言えば武士は傘を差さないと聞いたことがあります。
自衛隊員も傘を差さないそうです。
理由はいつ何が起きても対応出来るように両手を空けておく必要がある、さらには傘は視界を妨げるからという理由のようです。
武士も同じ理由なのでしょうか?
それでも柄が濡れるのはまずいはずですが・・・
柄には鮫皮(正確にはエイ皮)が巻かれていますので雨に濡れるとふやけて柔らかくなってしまいます。斬り合い中に柄糸と一緒にズルッと抜けてしまうかもしれません。
やはりそれはまずいということで、雨や雪の中を出掛ける場合は柄袋というものを掛けていました。桜田門外ノ変で大老井伊直弼護衛の彦根藩士たちが遅れをとった原因だと言われるアレです。
しかし突然の雨の場合にはどうしたのでしょう?
袂で柄を覆ったり、手拭いを掛けたり・・・それなりに対処法はあったようです。
ちなみに武士は雨くらいでは走ったりしなかったそうです。
対面を重んじる武士は雨程度で狼狽えては恥だと悠々と雨の中を歩いたとか・・・
武士が傘をささない理由はこっちですね。
どうやら春雨じゃあなくても濡れて歩くのが武士のようです。
まだまだ寒い日もありますが、もうすぐ春雨の季節です。