PERFECT DAYS

ちょっと前に日本のトイレが話題になりました。

海外からの旅行者が日本のトイレを見て回るツアーもあるそうです。

 

そんなきっかけを作った映画が「PERFECT DAYS」です。

この映画はもしかしたら海外の方にこそ響くのかもしれません。

 

都内の公衆トイレ清掃員の平山さん(役所広司さん)が主役です。役所広司さんがとてもいい顔をしてます。

 

日常のルーティンの中に身を置く心地よさや安心感が伝わってきます。

 

この心地よさは普段から私も感じているものです。

稽古場に入ってから行うルーティンにも同じ心地よさがあります。

道具を置く場所も順番もほとんど決まってます。

袴の着用などは勝手に手が動きます。

脳と体が切り離される不思議な時間を楽しみながら稽古に入っていきます。

 

無駄のない洗練された動きを繰り返すことは気持ちを落ち着かせます。

 

「PERFECT DAYS」の平山さんはトイレ掃除を実に丁寧にやります。もはや収入を得る仕事の範疇を超えているようです。

 

毎日同じように見える平山さんの日々ですが、全く同じ日はなく、自分にとって大切なものを慈しみながら静かに生きている彼を羨ましく思う人は多いと思います。

 

同じように見える礼も帯や袴紐の締め具合も稽古も毎回違います。

ルーティンだからこそ感じる変化を楽しみます。

体調、気のめぐり、呼吸、新しい気づき、空気感、気配・・・

 

静かに稽古が続けられる日々はまさにPERFECT DAYSと言えます。

 

ちなみにこの「平山」という名前は映画「PERFECT DAYS」のヴィム・ヴェンダース監督が尊敬する小津安二郎の映画によく出てくる名前です。「東京物語」では笠智衆が演じています。